不妊治療における男性の役割(男性にできること)

世の中の不妊症の約半数が男性側に原因のある男性因子です。

そしてそのうちおよそ9割程度が精巣で精子を作る働きが低下している造精機能障害とされています。
造精機能障害のうちのおよそ6割程度が特発性造精機能障害と言われ原因不明とされています。
残りの2、3割程度が精索静脈瘤という器質的な原因によるものになります。
つまり男性不妊のおよそ半分かそれ以上は原因不明の特発性造精機能障害ということになります。

原因がはっきりしないために根本的な治療法というものがない(これをやったら精子が増えますとか精子の運動率が改善しますというような根本的な方法がない)ので、現在の不妊治療における中心的な考え方では、対症療法(=精子が少なくて受精ができないので妊娠しない→精子そのものを増やすということではなく、人工授精、体外受精、顕微授精などで少ない精子でも受精できるようにサポートするという考え方)を行うことになります。
男性因子の程度により人工授精でも妊娠可能な程度の精子数、運動率であればなるべく負担の少ない人工授精を選択するが、顕微授精でなければ妊娠が望めないほどの乏精子症や精子無力症では顕微授精を、さらに顕微授精に必要な精子が射出精液中にないぐらい少ない場合は手術で精巣から精子を回収してそれを顕微授精に用いるTESE-ICSIが必要になってきます。

これら男性側の原因で不妊治療を行う場合でも、現在の生殖医療ではどうしても女性の側により多くの侵襲(身体的精神的負担)がかかります(排卵誘発剤を打たれるのも、針を刺して卵を取る採卵を受けるのも女性です)。身体的侵襲に関しては、男性が女性に代わってあげるということができません。
それでも、男性側にもできることがいくつかあります。

 

一つは”生活習慣の改善”です。

喫煙は明らかに精子に悪い(精子だけでなく卵子にも悪い)とされています。禁煙で自然妊娠する程までの回復は無理でも、体外受精や顕微授精の成功率が明らかに上昇するぐらいに精液所見の改善が望めることがあります。

 

また、体重コントロールも重要です。

肥満や極端な痩せでは精液所見が悪いとされています。適切なBMI(18.5〜24)の維持が重要です。

 

その他、過度の飲酒、睡眠不足、栄養バランスの偏りなどは造精機能に悪影響を及ぼします。

生活習慣の改善により精子の質が上がれば仮に体外受精、顕微授精が必要な状況ではあっても成功率が高まる可能性は十分に考えられます。少ない回数での体外受精や顕微授精で妊娠ができればそれだけ女性が受ける身体的精神的侵襲の程度も軽くなります。

 

そして、それ以上に最も重要なこと、それは治療を受ける女性を精神的に支えることです。

これは唯一、パートナーである男性にしかできない役割になります。
大好きなタバコを断ち、付き合いの酒を減らして早く家に帰って夫婦で会話する・・・これは男性にもできる立派な治療参加のあり方です。

 

仕事が休みの日は、ぜひご夫婦で一緒にクリニックへお越し下さい。
一組でも多くのご夫婦にご来院いただけるよう、狭い待合室ではありますが当院では椅子の数を増脚いたしました。

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